真菌症

スポロトリコーシス

この病気は切り傷や刺し傷などから感染する真菌症のひとつです。
そのため腕や足、顔など外傷を受けやすい部分で見られます。

スポロトリコーシスは、我が国では比較的発症例が多く、深在性皮膚真菌症の代表的な疾患でしたが近年では減少傾向にあります。

 

スポロトリコーシスの症状

よく見られる部位は、成人のでは顔と腕、子供では顔面に見られます。
感染してから2~8週後に症状が現れます。

紅色の浸潤を伴う丘疹ないし、ブヨブヨとした結節(しこり)として始まり、次第に増大するとともに自然と潰れてしまい浅い潰瘍(かいよう)ができて、軽度の滲出液がでて、表面にカサカサの皮膚片・かさぶたが付着します。

このような症状は大きく2つに大きく分かれます。

  1. 皮疹が単発で連続的に拡大していく固定型
  2. リンパ管の走行にそって飛び石状に小さなしこりや転移病巣を生じるリンパ型

 

皮膚リンパ管型 スポロトリコーシス

小外傷に菌が入り込み、肉芽腫性結節ができ、中央がやぶれて潰瘍になります。
かゆみ、痛みなどの症状はありません。
初発病巣が現れた後、数カ
月の間にリンパ管に沿って飛び石状に、皮下結節がいくつかできます。

 

皮膚固定型 スポロトリコーシス

皮膚リンパ管型スポロトリコーシスと似た症状が現れますが、比較的長期間存在しても転移巣はつくらず、もともとの病巣が周囲に拡大していきます。

子どもが感染した場合、この病型が多く、顔面にできやすい傾向があります。
明らかな
傷が認められないのに、発症することもあります。

 

皮膚以外のスポロトリコーシス

極めてまれですが、骨や関節に、関節炎や骨髄炎を生じることがあります。
口腔、咽喉、鼻粘膜などの粘膜部分にも潰瘍や肉芽腫、乳頭腫状病変を起こします。
また菌を吸い込み、肺に病変をきたすこともあります。

 

原因

原因菌はスポロトリックス・シエンキという菌で広く世界の各地に分散し、一般的には土壌、腐木、ミズゴケなどの自然界の環境中に生息している。

 

擦過傷、切り傷、棘などの軽微な外傷を介して菌が含まれている土壌で汚染されて、菌が真皮内に侵入・増殖して発症します。
そのため、外で遊ぶ機会の多い子どもや、農業や戸外労働者に 多くみられ、外傷を受けやすい上肢と顔に発生する特徴があります。

 

 

スポロトリコーシスの治療法

 

現在のところ治療法としてはヨウ化カリウムが最も最適
有効性は高く、ヨード過敏や肺結核、甲状腺異常などがない限り試してみるべきでしょう。

通常成人では、450~600mg/日、最大1gを経口し、皮疹消失後約4週間は継続投与し再発防止を図る。
治癒率は90%以上と言われています。

副作用は比較的少ないが、ときに消化器症状や苦味感、結膜炎などの副作用が出現する。
この場合は中止するか、投与量を減らすことで対処できる場合も多い。

 

 

 

抗真菌剤

 

アゾール系抗真菌薬のうち、スポロトリコーシスに有効性が高いのはイトラコナゾールです。
投与量は100~200mg/日とされていますが、200mgでの効果が高いという報告が多いようです。

アリルアミン系の塩酸テルビナフィンも有効ですが、イトラコナゾールのほうが治癒率が高いのでこちらを選ぶべきでしょう。
ケトコナゾールやミコナゾールはあまり効果が期待できない。

 

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