水虫の知識

水虫薬の上手な使い方

水虫を治す場合には通常、抗真菌薬の塗り薬が主体になっています。
調査結果によると90%が塗り薬のみで治療を行っているのです。

水虫の菌である白癬菌が発見されたなら、病巣の状態によって薬剤の種類や機材を選ばなければいけません。
症状によってはステロイド外用薬で炎症を抑えてから、抗真菌剤を使った方がいいこともあるのです。

水虫に対する外用療法は、抗真菌薬を皮膚角層に直接作用させて、菌の発育を抑制するのが目的です。

薬の使い方について勉強していきましょう。

塗り薬は足をキレイに洗ってから

とっても大切な基本中の基本!
お風呂できれいに足を洗ってから薬を塗るようにします。

風呂上がりに患部の水分をていねいに拭き取り、その後、皮膚が乾燥してから外用することが、 成分を深部まで浸透させるコツです。

 

思っているよりも広範囲に塗ろう

目に見えている範囲よりも密やかに菌は広がっています。
薬は患部だけではなく、その周辺まで広く塗りましょう。
こうすることで健康な部分に白癬菌が拡大することを抑えるとができます。

多くの場合、白癬菌が足全体に広がっている人が多いので、靴で隠れる部分全体へ、とくに趾間、爪の周囲、 かかとへ念入りに塗るようにしましょう。
患部から4〜5センチ広めに塗るようにすると効果的です。

 

薬の塗りすぎはダメ

薬は決まった分量以上に使っても、効果は半減するどころが、かえってよくない結果を招きかねません。
1日1回塗布と指示されている薬は、回数を多くする必要はなく、多いとかえってかぶれる危険があるので、薬物療法では、一日の使用量と回数は規定通りに行うことが基本です。

しかし、量は「べたつく程度に多く」といいたいところです。

なぜならそういうと自然に塗布範囲が広くなるからです。
再発を防ぐため、一般には肉眼的に確認される病巣の周囲5cmを含め広めに塗ることが必要です。


最近の外用薬はかぶれを起こすことは少なくなりましたが、100人に1人はかぶれることがありますので、塗り薬を使ってかえって悪くなる場合は、すぐに医師に相談しましょう。

 

どの水虫薬を選ぶべきか

水虫薬の売り場に行くと膨大な種類の薬が売られています。前に立てば
んーーーっ?
どれを選ぶべきなのか悩んでしまうことでしょう。

薬のタイプと使い方

外用薬は水虫治療の基本です。
正しい知識を得て、薬の持っている力を最大限に引き出せれば早く治すことができるでしょう。

外用薬を大きく分けると液剤(チンキ)と クリームと軟膏があり、その中間にゲル状のものもあります。
スプレーやパウダーもありますが、これは特殊なものです。

液剤(チンキ)の特徴と扱い方

液剤にはアルコールが基剤となっていることがあり、しみるものが多いので、症状が悪化している患部に使うことはできません。

特徴

薬剤の浸透性とすぐに乾くためにつけ心地がよいという利点があります。
しかし、そのほとんどにアルコールを含むため、乾燥しすぎる、かぶれやすいという欠点を持つ。

使い方

使う時は、患部とその周辺に広く塗ることが大切です。
液剤の容器は先が細長いノズル式になっているものが多く、液が余分に出ないように工夫されています。この場合は、直接患部に塗ることができます。

  • 液剤の容器にノズルがついていない場合
    コットンや綿棒、ティッシュなどに液体を染み込ませて、点を描くように少しずつ塗っていきましょう。
    容器から直接患部に薬をかけないようにしましょう。
    余分な薬が流れ出るうえ、適量がいきわたることもなく、薬が無駄になってしまいます。
    さらには、患部以外の皮膚を刺激してかぶれたりの原因になったりしてしまうでしょう。

 

クリーム基剤の外用薬の特徴と扱い方

クリーム状の外用薬はベタベタ感があるため好き嫌いがでるかもしれません。
水分と油分が一定の割合で混合されているので、保湿とまではいかないがある程度の保護作用と薬剤の浸透性の両方を得ることができる。

特徴

このタイプは長時間皮膚に成分がとどまり、浸透力に長けているため、水虫の治療には最も多く使われていて、とても効果的なのです。

使い方

まず指の先に少量取り、患部を中心として広めに薄く塗るところは液剤と同じですが、塗布後、塗りすぎてカーペットやシーツについてしまうようであればつけすぎです。
余分な薬はティッシュで拭き取りましょう。少量でも十分に効果があるので大丈夫です。

薬は角質層内に吸収されていくので、後で足を洗ってしまったとしても1~2日間は効力が持続します。

軽症で水虫の範囲の狭い人でも、一週間に一回くらいは予防の意味で足の裏全体に薬を薄く塗ってください。他の部位に白癬菌が広がっていくのを防ぐことができます。

 

軟膏基剤の特徴と扱い方

軟膏が基剤の水虫薬もあります。
クリーム基剤のものよりさらにベタつくのであまり使用
されませんが、刺激性も少ないため、水虫が急に悪くなったり、冬で足底がカサカサしたり、亀裂ができてとても痛むときなどに使用します。

使い方はクリームとほぼ同じと考えましょう。

軟膏の特徴

軟膏はあらゆる病巣に使うことができる。

  • 丘疹(赤い湿疹ができて小さく丘になっている)
  • 湿潤(水気が多くてびちゃっとする)
  • びらん(ただれてしまっている)
  • 苔癬化(たいせんか)
    (何度も炎症を繰り返すうちに皮膚が乾燥して固くなって、ゴワゴワしている状態)

このような状態などでも選ばず使える。
保湿性があるので皮膚を保護する作用に優れているが、角質への薬剤の浸透性という部分では他の基剤には及ばない。

その他の外用薬の特徴と扱い方

スプレー式の水虫薬

スプレー式の薬は操作が簡単で使用しやすいものの、不必要なところまで薬を散布してしまうことが問題点でもあります。

なかには、医療薬ではなく、抗菌作用と消臭を目的にしたスプレーもあります。
これは、履き物など直接吹きかけるためのもので、患部につけてもつけても治療効果は得られません。
選ぶときによく注意してください。

パウダータイプ

足の清潔さや乾燥に効果があるパウダーもあります。
これも医療薬ではなく、悪化防止と予防に使用するためのものです。
軟膏やクリーム剤を良く擦り込んだ後につけると乾燥が早くなるという利点があります。

 

水虫のタイプで薬を選ぼう

 

水虫の状態やどの場所に患部があるのかによって薬にも向き不向きがあります。

趾間型で鱗屑と小水疱のみの場合

この場合はどの剤形でもかまわない
靴の中では湿度100%になる部位なので乾燥目的の液剤、スプレーも適応となる。

しかし、びらんや浸軟、亀裂をみとめる場合はかぶれにくい軟骨、クリームを選び、 乾燥のためにはガーゼを指のあいだに挟むなどの対応をしたほうがいいでしょう

小水疱型と角質増殖型

小水疱型はどの剤形でもよいが、塗りやすさからクリームが適当である。

部分的にでも角化と亀裂をみとめる角質増殖型は軟膏が最適です。
また、尿素軟膏などの角質軟化剤を重ねて塗ると、亀裂を起こしにくく歩行が楽になるでのおすすめです。

尿素軟膏は傷には刺激があるため、しみて痛い場合はワセリン基剤の抗生剤軟膏をしばらく使用するとよいでしょう。

効いているかどうかの判断は?

水虫に抗真菌薬が効いているかどうかの判断は、かゆみの軽減、水ぶくれがポロポロと乾いて落ちるくらいになったりなど本人にも効果が実感できるとは思いますが、それらの変化には塗布開始後2週間程度を要することが多いです。

しかし、2週間塗ってもまったく変化がなかったり、逆にかゆみが強くなる、赤みや小水疱、浸出液が多くなるなどの悪化傾向がみられれば、かぶれや細菌感染の危険性があるので すぐ塗布を中止してください!

基本的に抗真菌外用剤は白癬菌の発育を抑える目的の薬剤であって、白癬菌によって引き起こされた皮膚炎の治療薬ではないことを、知っておきましょう。

 

どの外用剤を選択するにしてもやってはいけないこと

かゆみが強い場合に、
「あ、気持ちがよいから、お風呂でナイロンタオルでゴシゴシしよう。」

清潔にしなければ!という思いから、
「入浴時にナイロンタオルでゴシゴシ趾間を洗って・・・」

強く洗ってから薬を塗るというこの流れは絶対にしてはいけない。

水虫は白癬菌による湿疹状態であり、傷ついた皮膚のバリアをさらに破壊することは、全身のアレルギー性の湿疹である白癬疹を発症させる引き金となる。

また細菌感染により蜂窩織炎を発症する危険もかなりある。
足の蜂高織炎(ほうかしきえん)になってしまったら抗生剤の点滴静注とともに安静が必要であるので、日常生活に大きな支障をきたすことになる。

仕事にも行けないし。学校にも行けない。
水虫で点滴うってます。と言わなければいけなくなる。ww
これが一番ダメな水虫との付き合い方ではないでしょうか。

 

まとめ

これらの特徴から考えて、患部がしみるときには軟膏を塗り、症状が軽くなってきたらクリーム剤を用いる。
そして、悪化防止や予防にはスプレーやパウダーを使用するというのが薬選びのポイントだといえるでしょう。

どの外用剤も、塗布後痛みを感じる場合は刺激性皮膚炎の危険があるので、“しみない”基剤を選ぶのが賢明でしょう。

使用していて異常を感じたらすぐに中止することも大切ですし、足を強く洗うこともやめましょう。
悪化したらすぐに医者に見せるようにしましょう。

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