異型白癬を知るにはまず、ステロイドについて簡単に知りましょう。
ステロイドは2つの非常に優れた効果があります。
- 炎症を抑える効果
- 免疫を抑制する効果
そのため皮膚炎が起こって強い炎症が起こったときなどステロイドが処方されることがあるでしょう。
しかし、もう一つの効果である免疫抑制という側面もあります。
免疫というのはいろいろな細菌やウィルスから体を守る防御反応です。
これが過剰に働くと体に悪影響を及ぼします。いわゆるアレルギーです。
このような過剰反応を抑えるのにステロイドの免疫抑制効果は最適です。
ですがこの免疫を抑制するということは、水虫のように菌が原因で炎症が起こっているときに使ってしまえば抵抗力が下がって菌の好き放題になってしまうということです。
異型白癬
白癬は通常は弧状、環状など形状になって発疹ができますが、ステロイドを長い期間、間違って使用してしまうと白癬は普通の形状にならず、さらに毛包を破壊して、皮膚の深いところ深在性白癬になってしまったりする症状です。
深在性になると毛包炎の丘疹(白癬菌性毛包炎)などを生じます。
こうした例では外用治療のみでは毛包に菌が残存して再発してしまうため抗真菌薬の内服が必要になってきます。
ステイロイド外用薬による異型白癬
通常は炎症症状が弱く、定型的な環状皮疹にならず、境界の不鮮明な紅斑と落屑を呈することが多い、しかも炎症が軽微であるにもかかわらず顕微鏡でみるとたくさんの白癬菌を確認できる。
ステロイド内服薬の場合
白癬病巣が広範囲に拡大、汎発化することがあります。
特徴としては
- 円形になるけど中心が治っていく傾向じゃない
- 広範囲なうえに、びまん性の発疹
- 細かくあちこちに湿疹ができる
- 炎症症状の強いものから、きわめて軽微なものまで多彩
足白癬や爪白癬があると
ステロイド内服やガンやHIV感染症、糖尿病などの免疫不全状態での異型白癬は、多くが足白癬や爪白癬から起こりやすい傾向にあります。
ステロイド内服患者の人はあらかじめ足白癬や爪白癬を治しておくことも重要です。
顔面の白癬は異型化しやすい
顔面の白癬は異型化しやすい傾向があります。
なぜならステロイド外用剤以外にひげそり、洗顔、化粧、日焼け、市販の外用剤を塗るなどいろいろなモノが接触する機会が多いのである。
さらに顔は原因菌の種類が多彩であることも異型化に影響している。
顔面の異型白癬は正面から見てもわからないときは横から見てみよう。
よこから見てみると耳の前の部分から首にかけて弧状の紅斑、丘疹の配列が見られます。
陰嚢の場合
顔面のみならずいたるところに異型白癬は見られますが、陰嚢にも白癬を生じる陰嚢湿疹と思って、ステロイドの塗り薬を誤用していた白癬例では、紅斑は目立たないのですが、顕著な落屑を生じます。
たまたまにフケのような皮膚片がたくさん落ちるようになるということです。