たむしは体中のどこにでも発症して、さまざまな部分に広がっていく困った病気です。
昔からさまざまな呼び名がありました。
- たむし
- ゼニタムシ
- ガンキン「頑癬」
この病気は、正式には体部白癬と呼ばれるものです。
正体は白癬菌
皆さんがおなじみの足にできる皮膚病である水虫は、「白癬菌」という菌に感染した足のことを呼びます。
水虫の菌である白癬菌は、足や手だけに感染するわけではありません。
水虫に触った手で体の他部分を触れば、感染してしまいかゆみを伴う皮膚炎になってしまいます。
そして、この白癬菌が体に感染したとき俗にいう「たむし」と呼ばれる皮膚病になります。
正しい名前としては体部白癬という皮膚病になります。
たむしと水虫は同じ菌なんですね。
体部白癬の症状
顔から手の甲、足の甲までの全身のうぶ毛の生えている皮膚のうち、内股にできるもの以外の白癬を体部白癬と呼びます。
体中のどこにでも発症しますが感染しやすい場所が、
- 顔
- 胸
- 背中
- 腕
- 大腿
こういった部分で見られるのが特徴です。
タムシは1力所にできて、次第にまわリヘ広がっていくこともあれば、同時にたくさんの発疹ができることもあります。
典型的タイプ
タムシは丘疹と呼ばれる少し盛り上がったぶつぶつが、太目の赤鉛筆で描いたような、細くて丸い赤い輪になって並びます。
輪に囲まれ中心部分は平らになり、少しきめが荒くなって、淡褐色の色がついていることが多く、また少しかさかさしています。
時間と共にこの環状に盛り上がった部分は、まわりにひろがっていき、真ん中の平らな部分が広くなります。
そして、ひろがるにつれて、輪は次第に切れ切れになり、また輪と輪が隣同士でくっついて、弧状あるいはいくつかの弧を連ねたような輪郭になります。
このような症状は、タムシのひとつの典型的な形で、これまでは頑癬または輪郭性湿疹様白癬と呼ばれていました。
これがいわゆるタムシです。
ゼニタムシタイプ
タムシのもう一つのタイプは輪になる部分に大きさのそろった小水疱がならんで、そのまま輪が切れることなくひろがっていくとともに 真ん中にまた新しい小水疱からなる新しい輪ができてくるものです。
二重ないしは三重の同心円になることがあります。
このタイプは子どもに多くみられ、またイヌ小胞子菌による多発性の発疹のときにもよくみられます。
このタイプを以前は、斑状小水疱性白癬と呼んでいました。
ゼニタムシというのはこのタイプの呼び名です。
このタイプには、小水疱をつくらず、ただ類円形に赤くなって、かさかさした鱗屑だけをつけている場合も含めています。
このように、いずれの場合でも発疹の輪郭が、細い環状あるいは弧状になり、発疹の真ん中が一見治ったようにみえる(これを中心治癒といいます)のは、タムシの発疫に共通した特徴です。
したがって、他の病気との区別に役立ちます。
症状の変わった白癬の出現
タムシがすべて上に述べたような症状であれば、いいのですがこのような典型的な症状を示さない場合がかなりあります。
そのため専門の皮膚科医でも間違えることがまれでありません。
顔にできるタムシにその傾向が大きいのです。
こういう症状の変わった白癬を異型白癬といいます。
体部白癬の原因
体に白癬菌が付着して条件がそろうことで体部白癬になります。
一般的に温度15度以上、湿度70%以上だと菌が活発になるといわれています。
そのため、季節的には春と夏に多くなり、体温が高く発汗も多いので白癬菌が増殖する条件を満たしてしまいます。
感染ルート
水虫である菌、白癬菌を貰ってくる感染ルートがいくつか考えられます。
自分の水虫から広がる
自分の足が水虫だった場合、足の水虫を触った手で体を掻いてしまえば、皮膚の小さな傷から白癬菌が侵入してしまします。
感染経路としてはとても簡単です。
もちろん水虫の人の靴下を触って、体を掻けば本人以外でも菌が付着します。
水虫がうつってできるような場合には、1力所だけということが多いのです。
始まり方
初めはポツンとできた湿疹状の隆起が非常にかゆく痛くなりだし、徐々に10円玉くらいの大きさに広がっていきます。
同時に、その周囲に同じような湿疹がいくつもでき始めます。
発疹は症状が進むと中央部は自然に炎症が治まり、周辺部分に向かってわずかに隆起し、発赤、丘疹、 小水疱(小さな水ぶくれ)、鱗屑(ふけのようなもの)が現れます。
また、正常部との境界線がはっきりしていることも、タムシかどうかを見分ける要素の一つです。
角質増殖型の手足の白癬がある人に、長い年月続いているようなタムシの場合には、体の広い部分に一面にひろがっていることもあります。
施設から拾ってくる
いろいろな人が集まる温泉の浴室や、ホテル、旅館、スポーツジムなど菌がどこにいてもおかしくありません。
感染のリスクは十分にあるのでこのパターンも非常に多いでしょう。
また、公衆トイレの便座なども感染源になります。
糖尿病などの全身疾患の患者や高齢者などは、免疫力が低いので多発する傾向にあります。
ペットから伝染する
家庭で飼っている犬や猫、小鳥などの毛にムラがあったり、ハゲが点在しているときには、ペットが白癬菌におかされていると考えられます。
猫の間に蔓延しているイヌ小胞子菌と呼ばれる力ピが人についておこる場合には、 爪の甲くらいまでの小さな発疹が、十数個ないしは数十個同時にできることがあります。
このような動物に寄生する白癬菌を好獣性菌と呼んでいて、人間にうつると炎症が激しいことが多いです。
ペットからうつるので服などに隠れていない部分でよく発症します。
- 頭部
- 顔面
- 腕
など、また家族内で広がるケースが多いです。
この場合、タムシを治すためには、 自分や家族が治療するのと一緒に発生源であるペットの治療も始めなければなりません。
かなり稀ですが、土の中にいる白癬菌が原因でタムシになることもあります。