頭の水虫?それが頭部白癬
頭髪に真菌(カビ)が侵入して病気を起こす症状を頭部白癬と呼び、一般的にはシラクモとよばれています。
白癬菌が頭の毛髪に感染し、脱毛を起こすこともあります。
10歳以下の子どもがかかりやすく、最近では高齢の女性にも増えています。
頭部白癬の歴史
シラクモは戦後までは日本ではありふれた病気でしたが、この病気は1960年頃から、日本から殆ど見られなくなりました。
50歳以上の方は小学生くらいの時にかかったり、見たことがあるかもしれません。
菌の種類が変わった?
20年ほど前から少しづつシラクモが増えてきているようです。
どうやらシラクモの原因菌のカビの種類が変わったためです。
白癬菌もたくさんの種類があり、症状が同じように見えても菌が違うこともあるのです。
誤診の可能性もなくはない
長い間シラクモがみられない期間が続いたために医者のほうもシラクモであることを念頭に置いていないうえ、症状も教科書にあるものとは変わってきています。
そう、若い医者ならば見たこともない場合もあるのである。
このようなことで皮膚科にいったのに誤診される可能性もあるのです。
頭部白癬の症状
さまざまな特徴的な症状が現われます。
円形の脱毛
シラクモでは頭髪が、円形に脱毛したり、短く切れたりして、その部分にカサカサした細かい鱗屑がついています。
円形の赤い跡
顔面や首、体などにカサカサした円形の赤い跡があちこちに多発するのが特徴です。
同時にたくさんできる
感染した毛穴は赤くはれあがり、周囲の毛が抜け落ち、毛が抜けたところ(脱毛巣)は、何カ所か同時にできることが多いものです。
かゆみはありません。
かゆみはないものの、その場所に残っている切れた頭髪を引っ張ってみると、簡単に抜けてくることが多く、その毛を顕微鏡で見てみると、毛の中または毛の外側にたっぷりと皮膚糸状菌の胞子や菌糸を見ることができます。
精神的に苦痛
患部を中心に脱毛斑(いわゆるハゲ)が広がるため、患者には精神的苦痛が想像以上にかかるります。
そうとう落ち込むでしょう。
しかし!安心してください。
早めに治療すれば、抜け落ちた髪の毛も、患部が治癒するとともにちゃんと毛が新しくはえてくるのです。
全身症状
発熱や悪寒などの全身症状をともなうことも少なくありません。
ちなみに悪化すると
毛穴から白癬菌が皮膚の深部に侵入し、ケルスス禿瘡という病気になることもあります。
こうなると、患部が膿み、リンパ腺がはれてしまいます。
特殊型
黒点状白癬というシラクモの特殊なものがあります。
- 菫色菌 (トリコフィトン・ビオラセウム)
- 噴火ロ状白癬菌 (トリコフィトン・トンスランス)
これらは、毛の中に寄生する性質を持った比較的発症例の少ない白癬菌によっておこる場合にみられるものです。
毛穴と一致した黒い点だけがみられ、かゆみもないために長い間気づかずにいることが多いものです。
黒い点のようなものをよく見てみると、毛が皮膚の表面で切れてらせん状に渦巻いています。
このときの毛の中は白癬菌の胞子でいっぱいです。