真菌(カビ)の一種であるカンジダ菌が原因の病気です。
カンジダ菌がさまざまな要因で異常繁殖して、外陰部の皮膚に強いかゆみや赤みを発生させます。
膣内の炎症も起こるためおりものに異常が見られるようになります。
このように通常、外陰部と膣内の症状が合併しておこるため外陰腟カンジダ症(カンジダ腟外陰炎)とも呼ばれます。
カンジダ菌は常在菌のため皮膚や口の中、消化管、膣などに健康な状態でも存在します。
そのため女性であれば誰でも起こる可能性があります。
女性の5人に1人は経験したことがあるほど頻繁に見られ、再発しやすい疾病でもあります。
症状
膣と外陰部の両方に症状が見られることから、「外陰膣カンジダ」とも呼ばれています。
カンジダの症状を放置してしまうと、外陰部の炎症が悪化したり、湿疹の拡大につながり、症状の慢性化につながってしまいます。
外陰部の症状
膣カンジダの症状のひとつが強いかゆみです。
このかゆみは外陰部や膣部に感じられ、強いかゆみから性器まわりに傷を作ってしまうほどです。
ひどいと夜眠れぬほどかゆみに悩まされます。
また、外陰部が軽く赤みをおびること、腫れが見られます。
膣の症状
おりものの増加と特徴的な白いヨーグルト状のおりものが膣内容物として確認できることです。
酒粕状、チーズ状、おから状などと例えられます。
ひりひりとした焼けつくような痛みがあります。
その他の症状
- 排尿時に痛みを感じる
- 性交渉時に痛みを感じる
原因
カンジダの原因は、カンジダ菌が異常に増えてしまったことによる症状です。
この菌は真菌の一種で、常在菌といって健康な状態でも人間の体に生息しています。
皮膚、消化管、口の中、腸内など女性の10%程度の人で膣粘膜などでも見られます。
通常、膣内は常在菌である乳酸菌によって酸性に保たれています。
そのため、「カンジダ菌が増えすぎるような環境」にならないようにバランスが保たれています。
しかし、このバランスを崩すときがあります。
免疫力の低下
免疫力が低下することで、常在菌のバランスが崩れカンジダ菌が増えることがあります。
- 睡眠不足
- 体調不良
- ストレス
- 疲れ
- 風邪
風邪、寝不足が続き、疲れやストレスが溜まることなどが主な原因と考えられています。
ストレスや疲れによって自律神経のべランスが崩れると、免疫機能を抑制するホルモン「コルチゾール」がたくさん分泌されてしまいます。
結果として、免疫力が低下によりカンジダ菌が増殖してしまいます。
ホルモンの変化によるphの変化
ホルモンの影響により、膣内のphが変化することでカンジダ症になる場合もあります。
通常では、膣内は弱酸性のはずがプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で酸性にかたむきます。
これにより、常在菌のバランスが変わって乳酸菌が活動しにくい環境になり、カンジダ菌の繁殖しやすい状況になります。
このようにホルモンが変化するのは
1.生理前、生理中
プロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されて膣内が酸性化します。
生理のたびにカンジダを発症する場合には、通気性のよい下着にしましょう。
また、ナプキンやタンポンは、こまめに交換するようにしてください。
2.妊娠中、低用量ピル使用中
妊娠中にはプロゲステロン(黄体ホルモン)が大量に分泌されています。
低用量ピルはホルモンを調整する作用により、妊娠中と体に錯覚させることで排卵を刺せない効果がある。
どちらの場合も膣内のphバランスの変化がカンジダ症になりやすい原因となります。
ピルの場合、使用をいったんやめれば症状が改善されるでしょう。
かかりにくい人
ホルモンの分泌が少ない幼少期や閉経後の女性などでは、あまり増殖が見られないので発症頻度は少ない。
下着
カンジダ症の原因であるカンジダ・アルビカンスは真菌といってカビなどに近いモノです。
そのため、高い湿度を好むため蒸れていると増殖しやすい環境と言えます。
- ガードルなどの締め付けがきつい下着
- ナイロンなどの風通しの悪い化学繊維のショーツ
- おりものシートを日常的に使う
これらは蒸れるので湿度や温度、水分など増殖にピッタリの環境が出来上がります。
通気性の良いコットン100%やシルクの下着、小さめのキツイ下着よりゆったりしたものを選ぶほうが良いでしょう。
糖尿病と高血圧
糖尿病は血糖値のコントロールができなくなる病気です。
インスリンを自分で注射することで血糖値を下げたりする必要がある病気です。
糖尿病になると、さまざまな異変が体で起きるため感染症にかかりやすくなります。
血流が悪くなる
血糖値が高い血液は、細い血管の流れが悪くなります。
この影響は栄養や酸素不足となり、細胞や内臓の機能が低下していきます。
抵抗力の低下
好中球という白血球の成分のひとつですが、ウイルスや細菌が侵入した場合、それを食べて倒してくれます。この機能が低下します。
免疫反応の低下
免疫は一度感染した病原体に対して抗体を作る機能ですが、この免疫反応が弱くなります。
高血圧
血糖値が高くなると血圧が高くなり、高血圧になります。
血圧を低くするために降圧剤を使用すると、自律神経の働きが狂って免疫力が低下します。
そのため、カンジダ菌による影響があらわれます。
ステロイドホルモン剤の服用
ステロイドは炎症を抑えたり、免疫抑制機能によってアレルギー反応などを抑えたり、とても効果的なお薬です。
そのため膠原病、花粉症、喘息などで使用されたりします。
しかし、免疫を抑制する効果は逆に細菌類に対して抵抗力が低下している状態と言えます。
ステロイドを使って治療をしている場合、カンジダ症が起こりやすいので注意が必要です。
ステロイドを使用していた場合には、腟部より股部や外陰部に炎症がおきることが多い傾向があるようです。
抗生物質の影響
抗生物質はさまざまな細菌に対して殺菌力を持つお薬です。
化膿止めや膀胱炎、歯の治療の後など処方されることがよくあるのですが、カンジダ症になる要因となります。
人の体は多種多様な常在菌が絶妙のバランスで住んでいることで、雑菌などを寄せ付けないように守りを固めています。
カンジダは抗真菌薬で死にますが、抗生物質では死なず残ってしまいます。
このため、抗生物質を服用すると体の有用な常在菌たちが死んでしまい、バランスが崩れます。
抗生物質は腸内環境や膣内の環境にも影響がでるためカンジダが増殖して症状があらわれます。
エイズとカンジダ症
エイズはHIVウイルスが原因とされる感染症です。
ヒト免疫不全症候群と呼ばれる病気で、発症すると免疫力が大幅に低下します。
そのため、通常影響のない常在菌であるカンジダによる影響があらわれます。
エイズが発症するとカンジダ症の症状が見られるようになります。
性交渉とカンジダ
カンジダ症が性行為によって発症する場合があります。
その割合が5~10%程度であり、感染する条件などもあり、カンジダ症は性感染症として分類されていません。
性病ではないけど、「うつされる場合」「うつしてしまう場合」はあります。
男性は症状がほとんどない
男性はカンジダ菌に感染しても症状があまりでません。
理由は増殖しにくいからです。
男性器は体の外についているため、高温多湿になりにくいのでカビの一種であるカンジダ菌としては最適な環境とは言えません。
また、性交渉のあとシャワーなどで洗い落とせば簡単に除去できるので男性は感染しにくいでしょう。
しかし、カンジダ菌が増殖する条件はあります。
包茎
亀頭部分が皮でおおわれている状態が包茎です。
この場合、皮で包まれている部分に尿やよごれ、垢などがたまり通気性の悪さなどからカンジダ菌が繁殖する場合があります。
糖尿病の男性
糖尿病になるとたくさんの良くない症状が一度に起こります。
血糖値が高くなるため、免疫細胞の働きが悪くなったり、血流障害が起こったりと。
カンジダ菌に対する抵抗力も落ちるので増殖することがあります。
ステロイドの使用中
ステロイドによる免疫抑制効果によって男性と言えどカンジダ菌を増やす要因になります。
男性に見られる症状
男性の場合、症状がない場合もありますが、亀頭包皮炎を引き起こします。
- 亀頭がかゆくなる
- 亀頭がただれる
- 亀頭に弱い痛みが出る
- 亀頭が赤くなり白いカスが出る
このような症状が見られなくてもカンジダ菌を保有していることはありえます。
そのため、治療が終わった女性の再感染の原因が性交渉となる場合があります。
また、男性がうつされることもあります。